無声な私。無表情の君。

放課後になって部活へ行く。
本当は行きたくないけど康介の事が心配だし、私が居なかったら康介の負担が増えてしまう。
絶対に休むわけにはいかない。

カギを開けようと体育館の前で立ち止まった瞬間____

「愛……」

うわぁっ!!!
声が出ていた時ならば完全に赤っ恥をかいていた。
心臓の音がバクバク聞こえる。
本当にビックリしたんだから…。
そして同時に嬉しさを覚えた。
何でかって?
そりゃあ、康介が呼んでくれたからよ。

「ちょっと、今日だけは休ませてくれ…」

顔色はいつもとそんなに変わらない。
けど、少し目がうつろになっている。
身体がの事だってあるし…。

【わかった 大丈夫?】

本当は大丈夫なんて書くつもりなかった。
でも、いつの間にか自分で書いてしまっていた。

「……ん、平気」

本当は平気じゃないくせに。
康介のバカ。

「じゃあな…」

ポツリと呟いて康介はトボトボ去って行った。
背中が何かを物語っているようだったけど今の私には理解出来なかった。
首筋を見る度に心が痛んだ。