無声な私。無表情の君。

「愛ー?元気そうねぇ」

6校時終了後、優香が緩んだ笑顔で話しかけてくれた。

【ゆーかのおかげだよ!
何かスッキリしてるの!】

本当に感謝感激。
優香1人で私をこんなにも変えてくれたんだもの。
昨日だって東雲君と一緒に帰って愚痴書きまくって……

ん、待てよ。

優香、ひと、り……???
違う。
何かが違うぞ。
これは多分
優香と
東雲君のお陰?
あのポーカーフェイスさんのお陰なの?
わからない。
けど
気持ち良かった。
愚痴があんなにもスッキリする物だとは思ってなかった。
それだけじゃない。
ちゃんと聞いてくれた。
もしかして……。
本当にポーカーフェイスなだけなの?

例えるならば不思議ちゃんならぬ不思議君かな?
東雲君の事が良く分からない。
かといって康介みたく知りたいとは思わない。
何なんだろう、この差は。

「……ぃ…愛ってば!聞いてる?」

ボーッと考え事するのは変わってない様です。
ごめん、優香。

【ごめん!もいちど!】

「いや、いいよ。2度言う事でもないしさ」

タイミング悪かったなー、私。
嫌な所でボーッとしてしまった…。

【えー、気になる】

「言ーわないっ」

【けち】

「愛にそれを書く資格はないだろ!」

た、確かに…。

「もー、掃除始まるよー。
行かないとっ」

確かに…。

「じゃねっ」

そう言って優香は光の速さで逃げて行った。
多分、こんな時は大体良い事言ってるんだよね。優香。
顔、真っ赤だったし。
可愛かったな〜。
私はルンルンな気分で掃除場所へ向かった。
身体が今までになく軽かった。