無声な私。無表情の君。

【じゃあ、またね】

なんの気なしに彼を見送ろうとした。
その時の東雲君の顔は切なく、悲しい顔だった。

「………っ」

勇気のある人だと思った。

「愛先輩!」

私なんかより全然。

「また、一緒に帰りたいって思ってます……」

それがまた素敵だなって。

「…ご、ごめんなさい。ワガママ言って…」

【ぜんぜん!】

【また帰ろうね】

「……良いんですか?」

コクリ

「本当ですよね?」

コク

信用感が無いのも似てるかも。

「あっ、ありがとうございます!」



空いた穴を埋めるには

「あの、最後に1つだけ……。
1つだけ質問してもいいですか?」

似た物を埋め込み

「先輩って……」

自分に言い聞かせて

「彼氏いるんですか?」

誤魔化すしかない。

ふと、頭の中に浮かんだ言葉。
誤魔化す?似た物?空いた穴?
まだ意味はわかっていなかった。
この言葉が現実に起こるなんて知りもせずに。