(今日のお相手は、茶道の家元だったな…)

(はぁ…めんどくさい…)


「お連れ様がいらっしゃいました」

高級料亭の一室で、待つこと10分。

(来やがった…)

登場したのは、灰色の着物を纏い、少し、長い髪をオールバックに軽く流している男性だった。

切れ長の目が涼しく、冷たくも感じる。

(これが…神楽 勇馬(カグラ ユウマ)か…)

百合矢と同じ年頃だろう。

しかし、百合矢にも増した、威圧感を感じる。

「わざわざ、すみませんね。神楽さん」

「いーえ。久しぶりですね」

(茶道の家元で、政財界にまで顔のきく男)

小学生でも、冷静に目の前の男を分析しようとする。

その時…