甘い時 〜囚われた心〜

雛子の言葉に祐希奈は泣きながら笑い出す。

「あははは…お姫様みたいに育った雛子ちゃんでも、やっぱり嫉妬したりするんだ!あははは」

それを見て、雛子は笑いかける。

「するよ?」

「!?」

「私も人間だもん…祐希奈ちゃんと同じ…」

祐希奈はポロポロと涙を流し、嗚咽を漏らす。

「…うわぁぁぁ…」


まるで親に謝る子供のように、泣きじゃくりながら、謝り続けた。

雛子は立ち上がり、祐希奈の前に座ると、その頭を撫でてやる。

「大丈夫…大丈夫…」

そう言いながら…。



「ソックリだな…」

呟くように百合矢が言った。

美那が、ん?っと百合矢を見る。

「晋也…」

百合矢は晋也を呼ぶと笑った。

「ソックリだと思わないか?」

晋也も、分からないと言った表情で百合矢を見た。

「雛子ちゃんは衣頼にソックリだと思わないか?」

「…義姉さんに…?」

晋也と美那は、雛子に目をやった。

雛子も衣頼の名が出て、ビックリする。