甘い時 〜囚われた心〜

「ヒック……ヒック……」

止めどなく溢れる涙を唇で拭うと、笑いかけた。

「お前は何も悪くない…泣くな…」

それでもプルプルと首を横に振る。

「俺達の子は強い子だよ…お前が泣いてたら、この子が悲しむ」

そう言いながら、桜華の手が雛子のお腹に触れた。

「え…」

困惑して桜華を見る雛子に笑いかけた。

「生きてるよ…お前が目覚めるのを、この子も待ってたんだ…」

ギュッと抱き締める。

「生きていてくれて良かった…ありがとう…俺達の子を守ってくれて…」

生きている…

このお腹に…

「雛子…」

自分を抱き締める桜華が震え泣いているのに気づく。

涙は渇れることなく溢れてきた。

「お…おうかぁぁ」

抱き締め返し、桜華のぬくもりを感じてた。

桜華も雛子が生きているのを確かめるように抱き締めていた。