甘い時 〜囚われた心〜

「ぐっ…」

徐々に持ち上がる祐希奈の体。

壁に押し付けられた体を支えるのは、桜華の右手と自分の首だけ。

手をかきむしり、外そうともがくが、びくともしない。

「死ねよ…」

ギリギリと首が自分の体重でしまっていく。

「あっぐぅ…」

「桜華様!」

尚人達が止めようとしても、何も聞こえないように絞め続ける。

「桜華!」

「サクラちゃん!」

百合矢がかけつけ、桜華を殴り飛ばした。

祐希奈の体が崩れ、ゲハゲハと咳き込んだ。

「何してるんだ!」

百合矢が叫ぶ。

殴り飛ばされ、床に座り込んだ桜華は、切れた唇の血を拭った。

「雛子が…」

桜華の目から涙が流れた。

それを隠すように両手で顔を覆う。

美那が静かに桜華を抱き締めた。

「大丈夫…大丈夫よ…」