甘い時 〜囚われた心〜

「勇馬と俺達は昔からの友人だった」

「俺達?」

「あぁ…勇馬と俺・美那…」

「それに鈴音ちゃんのパパとママもよ!」

美那が嬉しそうに言う。

「雛子ちゃんのママの衣頼(イヨリ)も…」

少し寂しそうに視線を落とした。

「衣頼は美那の幼なじみだったんだ。美那と俺が婚約した後、勇馬と衣頼が付き合い出した」

まさか、自分の両親と雛子の両親が付き合いがあったとは…あまりの事に、声をなくす。

「衣頼は昔から心臓が悪くてな…体も弱いから手術もなかなか出来なくて、いつも勇馬が側にいた」

百合矢の優しい表情に、雛子の両親がどれだけ大切な存在だったかが分かった。

「あいつらが結婚してすぐに衣頼が妊娠してることが分かったんだ。美那も、鈴音ちゃんの母親の希美(ノゾミ)も妊娠してたから、衣頼は子供達が同い年になると喜んでいたなぁ…」

百合矢と美那が思い出して、フッと笑顔になる。

「でも…勇馬も含めて俺達は産む事を反対した…」

「なんで…」

「……衣頼が大切だったからだ。産まれてもいない子供より衣頼が大切だった…」

初めて見る泣きそうな顔の百合矢。

雛子の出生にはツラい選択かあったのだ。