「いっ、いらっしゃいませぇ~」
「やきそば~、今ならタダですっ、よぉ~」
「いらっしゃいませぇ~・・・」
「どうぞどうぞぉ~」
校庭に連れて来られた四人は、カワイイ裏声を出しながら客引きを行っていた。
「あれがイケナイ美女たち?」
「うわ~、マジカワイイやんか」
「俺、ちょっくらやきそば買ってくらあ」
「ちょっとぉ~、あたしよりあの子たちの方が可愛いとか思ってるんでしょぉ~?」
「そんなワケないだろ?君ほうが、百万倍可愛いよ」
「もー、しょーがないなー」
「ちょっとぉ~、あたしよりあの子たちの方が可愛いとか思ってるんでしょぉ~?」
「そっ、そそそっ、そんなワケな、いだろぉ~?あははっ、あはは~・・・」
「うそくさ」
元はとんこつたち四人を捕まえようと努力した人たちに対する謝礼としてのやきそばタダだったのだが、努力した全員を判別できるはずもなく。
タダでやきそばが食えると、関係ない人も群がってきた所に、追い打ちをかけるように美女たちが、客引きを行う。
「まっ、おいつかねぇ!」
「おーう、やきそばー。手伝ったろかー?」
「あっ、うどん!!うん!よろしく!」
「オッケッケー」
隣りでやっていたたこやきの屋台を、テキパキと改造しながらうどんが、いそいそと忙しなく動くやきそばに聞いた。快く了解したやきそばを見たうどんは、
「大変じゃのー、学生さんは」
ジジ臭い喋り方で呟いた後、声を張り上げた。
「やきそばー!こっちもタダッスよーー!!」
案の定、ドドドッと群がる客たちを見て、内心引きながらうどんは笑顔をつくり、やきそばを焼き始めた。


