冷麺の眠気が醒め始めた頃。五人は、ちゃぶ台を囲んでいた。
「はぁ。・・・美味しい」
そばは、出された麦茶を一口飲むと、ふうと一息吐いた。
「ありがとうございます」
そうめんは、にこりと微笑んだ。
そうめんとそばは向かいに座っており、この二人だけ見れば落ち着いた雰囲気を醸し出している大人のお茶会、に見えなくもない。が。
「ちべて~。あーー、きもちーなー」
ちゃぶ台に伏せながら、水滴が付いたコップを、自分の頬にくっつけるうどん。
「んぐ、んぐ・・・。プ八ッ・・・。おかわり」
無言でお茶を一気飲みし、スクッと立ち上がると、おかわりを取りに、冷蔵庫へと向かうざるそば。
「んぐっ・・・、プハァッ。・・・ダルい」
こちらも無言でお茶を一気飲みすると、ゴロンと寝転がる冷麺。
この三人が、雰囲気をぶち壊しているのである。
「全く・・・。こら、ざるそば。勝手に人の家の冷蔵庫、漁らないの」
「全く・・・。こら、冷麺。人様の前ですぐ横になるんじゃありません」
「え。おれ、ツッコんでくれないの?無視?おい、無視?」
うどんを残し、そばはざるそばを、そうめんは冷麺を、二人同時に叱った。
「・・・悪い」
「いえいえ。構いませんよ。それに、私たち、親戚じゃないですか」
ざるそばはそばに言われたことを気にしたのか、麦茶を注ぐ手を止め、そうめんに頭を下げた。そうめんは、顔の前でひらひらと手を振り、小さく笑った。
「そうだけど・・・」
困ったようにそばは眉根を下げた。


