嗚呼っ、美しきイケ麺’sよ!


「えー、残り一人になりましたー。皆様、頑張って残り一人を捕まえてくださいー」

「ぐっ・・・!!」


 放送を耳にしたとんこつの喉から、小さく音が漏れた。

 クッソ、他三人捕まっちまったかよ・・・!!

 舌打ちをして、フゥ・・・と息を吐く。

 とんこつがいる場所は、体育倉庫内。

 ガバッと足を開いて座るとんこつの今の格好は。

 Uネックの白いシャツには、『Go to Hell!!』と大きく乱雑に黒字でプリントされており、真っ黒のライダースジャケットの前を開いて着ていて、それには、ドクロや『Rock』と書かれた缶バッチがいくつかついている。透明のチョーカーには、金色のトゲのようなものがついており、まるで犬の首輪のようだ。黒と白のギンガムチェックのはいウエストスカートをマイクロミニではいている。ドスキンでできた灰色の二―ハイブーツのつま先は、豹柄でフレンチヒール。右手首にはいくつかスパイラルブレスレッドがはまっている。


「チッ・・・。動きにくいだろーが・・・」


 タイムリミットまで残り四十三分。


「残り少しだ、我慢しねぇと・・・。・・・にしても寒ぃなぁ」


 とんこつは、摩擦熱を起こそうと両腕をさする。

 ハァと息を吐くと、その息は少しだけ白くなりとんこつの瞳に映った。まだ夏の暑さが残る秋とはいえ、そろそろ冬に近付く頃だ。寒く感じるのも道理だろう。

 ましてやとんこつがいるのは、全面コンクリートでできた体育倉庫内。トタン張りの屋根越しに射す太陽が、唯一の暖房だ。

 もう一度ハァと息を吐き出すと、今度は自分の両手に吐きかける。


「さんみぃ・・・」


 タイムリミットまで残り、三十三分になった。


「我慢・・・。我慢んんん・・・」


 とんこつは、自分に言い聞かせるように何度もそう言うと、両手を擦って摩擦熱を起こした。