「冷麺」

「・・・」


 縁側に寝転がったままの冷麺に、そうめんは声をかけたが、返事は一切返って来なかった。


「冷麺くん。久しぶり」


 そばが声をかけても、ガン無視状態である。


「おい、冷麺。礼儀をわきまえろ」


 キレたざるそばがそう言うも、やはり無視。


「冷麺っ。おめぇ、風邪ひくぜ」


 先程そうめんがかけたタオルケットは、冷麺が寝返りをうったからか、冷麺の上から落ちてしまっていた。うどんは、パサッとその落ちたタオルケットを冷麺にかけなおしてあげた。


「ん・・・?」


 と、今までうんともすんとも言わなかった冷麺から、小さく声が漏れた。

 むくりと起き上がると、冷麺はボケーっと辺りを見回した。


「そば、に・・・ざるそば?・・・それから・・・、うど、ん・・・・・・?」


 眠気眼を擦りながら、冷麺はそう言った。


「・・・寝てたの?」

「ん・・・。うん」

「はぁ。・・・起きなさいって言ったでしょう?」


 そばが呆れ気味に言い、そうめんが困ったように叱った。うどんは


「ははっ。らしい!らしいなぁ!」


 ガハハと笑い、ざるそばは呆れてものも言えない状態に陥っていた。