嗚呼っ、美しきイケ麺’sよ!


「なんで・・・、なんで・・・なんでぇ・・・!!」

「なぜ公衆の面前で、このような醜態痴態を晒さなければならないのでしょうか・・・」

「なしてこんなことになった・・・。ほんずけねぇべ・・・」


 『ほんずけない』。北海道弁で、『訳が分からない』という意味。


「もう、何も考えないことにしよう・・・」

「え~?似合ってるのに~」

「そうだね。それじゃ」


 伸びた声を出したやきそばに相槌を打った担担麺は、微笑みながらクルリと振り返ると、マイクのスイッチをオンにした。


「学園祭にお越しの皆様に、緊急連絡がございます。この学園内で悪事をはたらいた美女四人が、脱走してしまいました!」

「はぁっ?!」

「びっ・・・、じょぉ?!」

「ふざけんじゃねぇべや!」

「ああっ・・・!もう死にたい・・・」

「こらこら、美女たち。そんな大きな声出したらマイクに入ってしまうよ」


 優しい声色を出し、ニコリと微笑んだ担担麺は、マイクに向かって話し続ける。


「この美女四人を見事捕まえ、私たち生徒会に引き渡して下さった方には、豪華賞品をさしあげたいと思っています」

「まてぇぇぇ!!」

「聞いてませんよ!」

「美女・・・?おれら、美女か?」

「気にしない・・・。うん、何も知らない・・・」

「それでは、よーい・・・、スタート!!」

「すんなぁぁぁぁあああああっっ!!」


 ポスッとやきそばに背中を押された四人は、いつの間にか生徒会室の外に出ていた。

 と、廊下の向こうの方からドドドドッと地響きが聞こえた。

 恐る恐る四人はそちらを向くと、鬼の形相をした男たちが、美女を一目見ようと四人の方へ走って来ていた。