「と、いうことがあったんだぜ」

「へぇ。あ、で、そのピンクの紙は?」

「え?あ、それが本題だったわ。これ、」


 と言ってうどんはピンクの紙をヒラヒラさせた。


「さっき行ったメイドカフェの帰りに、メイドのねーちゃんにもらったんだ。記念にって」

「あー、なるほど」

「ちなみに、三人共持ってるよ」


 そばが、うどんと同じ紙をヒラヒラさせると、ざるそばも苦々しい顔で同じ紙を出した。


「え、ざるそばももらったの?」

「あ、ああ・・・。まぁ、な・・・」


 言葉少なにざるそばはやきそばに答えた。


「まさか、あそこまで足を露出するところが、この日本に存在したとは・・・。ぐぅっ・・・!!」

「なにをそんなに悔しがることがあるのか・・・。疑問だねぇ」


 辛そうに顔を背けたざるそばに、呆れ顔でそばが呟いた。


「はい。たこ焼き、できたましたよ」

「あ、ありがとう。はい、お代」

「まいどありー」

「えー、そばお金足りないよー?三百円じゃないよー、三万円だよー。ほらぁ」


 メニューが書かれた小さな黒板を、やきそばはたこ焼きを手にしたそばに見せた。

 そこには、三百円と書かれていた痕跡が残る上から、ドデカく三万円と書かれてあった。


「・・・うん。三百円ね」

「ちぇ。つれないなぁ」

「まさか、他のお客さんにも同じようなことしたんじゃないでしょうね?」

「なワケないない!」

「なら良かった」


 フッと微笑んだそばの目は笑っていなかった。