「なぁなぁ、あそこにメイドカフェってのがあんぜー」

「ああー。メイドカフェね~」

「ん?『めいどかふぇ』ってなんだ?」

「えぇっ?!ざるそば、メイドカフェ知らねぇの?!」

「ああー・・・。この子、少し・・・、いや、かなり常識外れと言うか、世間知らずと言うか・・・」

「知らん。めいどかふぇってのを知らないと、恥をかくものなのか?」

「あー、いやー・・・。いいトコの出のお坊ちゃまには、通じんか、メイドカフェは・・・」

「通じちゃった私も、いいトコの出なんだけど」

「まぁ、オトナ?だしなぁ」

「いやらしい言い方しないの」

「む。何をコソコソ喋ってるんだ」

「いやいやー?なんでもござらんよー?」

「まぁ、口で説明するより、行ってみた方が早いよ。入ろ入ろ」

「あらヤダお兄さん。もしかして、そっち系のご趣味が?」

「うどん、永久に黙っててもらえないかな」


 やきそばたちと出会う前。

 そば、ざるそば、うどんの三人は、校内をうろついていた。

 と、うどんの目がキュピーンと光り、その先には『メイドカフェ』とやけに丸っこい字体で書かれたピンク色の看板があった。

 メイドカフェの存在を知らないざるそばの為、三人はピンクでフワフワしたカーテンをくぐった。


「お帰りなさいませ、ご主人様っ」

「ぬぉっ?!」

「ただいまー」

「ノリノリだね、うどん」


 妙に甘ったるい声と、妙にフワフワのスカート姿の女子生徒が、三人を出迎えた。


「ぬぬっ・・・!!ここまで、なま足をさらけ出していいものなのか・・・っ!」

「お堅いわよー、ざるそばちゃん」


 席に座ったざるそばは、にこやかにメニューを置いて行ったメイドの足をジィーッと見つめ、苦しそうに呟くと、頬杖をつきながら目を細めているうどんがそれに答えた。