「じゃ、よろしくねー。あ、とんこつ、明日の準備するぜー」

「おうっス!んじゃな、てめえら!ちゃんとバランス良い食事を摂り、歯ぁ磨いて、あったくして寝ろや!」

「え。なにあの子。めっちゃいい子じゃない・・・」

「規則正しい生活を送る不良、ですか・・・。滑稽ですね」

「ま、いんでないかい。いいふりこきたい年頃なんだべ」


 『いいふりこく』。北海道弁で『格好つける』。

 とんこつとやきそばの足音が完全に聞こえなくなると、三人のいる教室の空気が、少しだけ軽くなった気がした。


「・・・騒がしいのがいなくなりましたね」


 二人がいなくなってから最初に口を開いたのは、しおだった。


「そだね」


 それに答えたのはしょうゆだった。


「・・・帰るか」


 呟いたのはみそだった。


「うん」

「ですね」

「っしょっと」


 三人は教室を出た。