「そいやさ~」

「はい」

「今度、学校祭、あるじゃんね?」

「あー。ッスね。かったりぃ」

「そぉ?おれ。ぜってー楽しいと思うけど?」

「まぁ、楽しいとは思いますけどね~」


 伸びをしながらやきそばが、小首を傾げると、とんこつは苦笑いを零しながら歩を進める。


「ん~。最近金欠だから、お金貯める為にも、色々屋台、やろっかなー、なんて思ってるしね~。ま、金欠じゃなくても、楽しそうだから屋台出すけどね」

「あー、やきそばさん、無駄に似合いますよね。屋台とか、そういうの」

「マジ?!んじゃ、五つぐらい出しちゃおっかな~。屋台」

「手伝いましょうか?」

「あ、マジマジ?!あ、でも、収入は全部おれんのだからね」

「ウッソ。マジ理不尽だろ、それ!」

「ウソウソ」


 驚いたとんこつの頭をポフポフしながら、やきそばはケラケラ笑う。


「あれ?やきそば?」


 と、前方からやきそばを呼ぶ声がした。


「ん?」


 やきそばが声のした方を向くと、


「あり?そうめん?」


 買い物の帰りだったのか、片手に買い物袋を引っさげたそうめんが、オレンジに彩られた夕焼けをバックに、そこに立っていた。


「こんにちは」

「ちはッス」


 そうめんが微笑んで会釈すると、とんこつは少し慌てた様子を見せながら、遅れて会釈をそうめんに返した。