「ったく・・・。なんなんだよ。ひとしきり人の体で遊んどいて『飽きてきたから帰っていいよ』だとよ。鬼畜外道にも程があるだろ」

「え。なにそれ。褒めてくれてんの?嬉しいなぁ」

「んなわきゃねぇだろ・・・って、うわあああっっ!!」


 とんこつが一人ぼやいて家路を歩いていると、先程別れたばかりのはずの声の主がぬっと横から姿を現した。


「なっ、なななっ、ななななっななななんでっっ・・・?!」

「え?いや、ただ単にこっちが帰り道、近いからね」

「うっ、うううウソだっっ!!」

「ウソじゃないよ。なんにもしないって約束するからさ」

「信じられんっ!!」

「ヤダなぁ。信じてよ~」


 手をパタパタと振りながら、担担麺が笑う。

 道路いっぱいまでに担担麺と距離を置いたとんこつは、ビクビクしながら担担麺を疑うように、チラチラとそちら側を窺う。


「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」


 無言のまま、二人は同じ道を同じ歩幅で歩く。

 時折とんこつは担担麺の方を窺い、担担麺はそれに気付かないフリをしながらビクビクするとんこつが面白くて、


「ふふっ」

「?!」


 と笑う。

 笑う担担麺に、更にとんこつがビクついて、チラッとそちらを窺い、また担担麺が笑う。

 このエンドレスで、二人は、道が分かれるまで、同じ道を同じ歩幅で歩いた。