「はあー。やっぱさすがだねー。しおくんは」

「当たり前でしょう」

「やっぱ殴らせろって」

「なぜ?!」

「やー。暴力反対だってば、みそよ」

「いいっしょや~。殴らせろって~」


 ニコリと微笑むと、みそは拳を握ってシャドーボクシングを始めた。


「こえー」


 ケラケラ笑いながら、しょうゆが問題集やら筆記用具やらを片付け始めた。


「他人事のように・・・」


 溜息を吐いたしおは足を組み直し、シャドーボクシングするみその腕を、パシンと叩き下ろした。


「うおああああああっっ!!」


 と、ドタバタとものすごい足音と、それに引けを取らない叫び声が後に続き、三人がいる教室へ向かって来た。


「この声は・・・」


 片眉を吊り上げたしおが、表情を引きつらせながらドアの方を見た。


「来んなぁ、来んなぁ!!」


 声の主は三人のいる教室に飛び込むと、バシンッと教室のドアを閉めた。


「はぁ、はぁ、はぁ・・・。っはー・・・。って、おうわぁぁっ!?」


 ドアにズルズルともたれながら床に座り込んだ声の主は、息を整えるかと思った途端に、再び大きな声をあげた。


「慌ただしいですね、あなたは」


 忌々しい目つきで、しおが声の主、


「とんこつ、うるせー」


 とんこつを見た。