「はい。できましたよ」

「うおおっ。はっや!」

「うおわっ。わやくちゃはえ~」

 
 『わやくちゃ』。北海道弁で『めちゃくちゃ』の意味。


「解答、どこですか」

「ん。あ、ちょい待って」

「うおー。文字、ちっせーなー」

「そこそこ難しかったですね。まぁ、応用問題なので、見方次第ですが」

 
 軽く首をコキコキならしたしおは、しょうゆのふでばこに借りたシャープペンシルを戻した。

 
「あ、あったあった」


 しょうゆはポサッと机の上に解答集を置いた。


「ん~、と・・・。赤ペン赤ペン・・・。あった。おーし、まるっつっけー」

「間違ってたらいいのに」

「どういう意味ですか!!」


 解答としおの答えを照らし合わせながらしょうゆがまる付けを始める。と、みそがボソッと言うと、しおがバンッと机を叩き、声を荒げた。


「おー」

「おっ?おっ?間違えてた?間違えてたっ?」

「うるさい」

「間違えはー・・・」


 首をヒョコヒョコ横に動かすみその頭を、バスッと叩いたしおは、手を組み机に肘をついた。


「全問正解っ!」

「ちぇっ」

「当然でしょう?」

「うっわ、腹立つ。一発殴らせろや」

「理不尽な」

「殴るのはやめてねー」


 メンチを切ったみそを、宥めるようにしょうゆが苦笑いした。