「はい、起きる~」

「んにゃああーー。まだ寝るんじゃぁー」


 まず手始めに、最年長のうどんから。

 そばは、うどんが足の間に挟んでいたタオルケットを剥ぎ取ると、ペシペシと出ていた腹を叩いた。


「そんなカワイー声出しても、起きるモンは起きるんですー」

「いやじゃあああ」

「おじいちゃんか」


 笑いながらツッコむと、ギュゥっと目を瞑っていやいやをするように首を振るうどんの手を無理やりつかんだそばは、無理やり立たせ、頭を軽くはたいた。


「目、覚めた?」

「・・・寝る」

「『寝る』じゃないって。起きるの。朝ごはんできてるから」

「・・・メシ?」

「そう。メシ。朝飯」

「起きませう」

「はい、おはよう」

「うおらあ!あっさめっしぃいいい!!」

「起きたら起きたで、うるさいのも困りもんだね」


 うどんは、朝食の話を聞いた途端、眩しそうに細めていた目を、バチッと開けると、寝巻を一気に脱ぎ、大声を出した。

 苦笑いをしたそばは、剥いだうどんのタオルケットをキレイに畳むと、ポサッと床に置いた。


「着替えたら、食卓来てね」

「おうよ!!」


 ニカッと白い歯を見せたうどんを部屋に残し、そばは次にざるそばの部屋へと向かった。