トントントン・・・


「ふわああぁぁあああ~・・・」


 長い欠伸をしながら伸びをしたのは、うどんだ。

 リズムよく響く音で目が覚めたのだろうか。どこからか、いい香りが漂って来るので目が覚めたのだろうか。いずれにせよ、その両方は台所からやって来るようだ。


「ん~・・・んぅ~・・・?」


 まだ起きたくないのか、伸びをしたにもかかわらず、うどんはもう一度枕に顔を埋め、唸りをあげた。


「眠し・・・。うん・・・、眠い・・・」


 うわ言のようにそう呟いたかと思えば、


「んごぉ~・・・。んぐぅ~・・・、ぐぁあ~・・・」


 次の瞬間には、もう爆睡していた。

 静かさが戻ったうどんの部屋に響くのは、一定のリズムを刻み続けるトントントン・・・という包丁がまな板に当たる音と、みそ汁の良い香り、そして、耳を塞ぎたくなるようなうどんのいびきだけ。


「んがっ・・・・・・。ぐおぉお~・・・」


 一体どれだけ眠れば気が済むのだろうか。