「あー。終わったー」
「お疲れ様です」
蝉の泣き声も収まり、静かな夜がそばたちを包み始めた頃、やっと洗い物が終わった。
そうめんは、そばにアイスコーヒーを差し出すと、食卓で寝ている一人の子どもと、二人の子どもみたいな大人にタオルケットをかけてあげた。
「ありがと」
「いえ。私の方こそ、ありがとうございました」
「いーやー。何言ってるんだい。料理、すごくおいしかったよ」
夕食の役割分担は、そばが食材を切り、そうめんが調理、そしてざるそばが野菜の皮むきだった。
「ありがとうございます。こんなのでよければ、いつでも作りますよ」
はにかみながらそうめんが言う。
「ほんと?じゃぁ、明日からやってもらおっかなー」
冗談めかして言うと、そばはコーヒーを一口飲んだ。
「さて」
カランと、空になったグラスの中の氷が音を立てた。
コーヒーを飲み干したそばは伸びをすると、視線をいびきをかいている大きな子ども二人に視線を移した。
「ぐぉーっ、ぐぁー・・・っ・・・、んっ、ぐぅ・・・」
「スー・・・、スー・・・、」
気持ちよさそうに寝ているところ、気が引けるが。
「起きなさい!!うどん、ざるそば!!」
そうめんがかけたタオルケットをひっぺがすと、そばはうどんとざるそばの腹をペシペシと二回続けて叩いた。
「んごっ?!」
「ぬぅっ?!」
飛び起きたうどんとざるそばは、状況整理が追い付いていないようで、目をパチパチさせている。


