「あ。それで手伝ってくれるとかなんとか言ってくれてたよね」
ヤカンをコンロに戻したそばが、まな板を乾いたふきんで拭きながら、首をひねり顔だけざるそばの方を向いて聞いた。
「おう」
「じゃぁ・・・」
「これと、これ・・・。それからこれをお願いします」
そばが何をざるそばにやってもらおうかと辺りをキョロキョロしていると、そうめんがざるそばに食材をいくつか手渡した。
「これらの皮むき、お願いしますね」
「お、おう・・・」
有無を言わせぬ笑顔で言われると、
『皮むきなんて、そんなガキくさいことやりたくねぇ。包丁でむくならまだしも、ピーラーなんてもっと嫌だ』
なんて、口が裂けても言えない。
「そうめんくん・・・。いつからそんな真っ黒な笑み浮かべられるようになったの・・・」
「え?なんのことです?」
無自覚とは、性質が悪い。
引きつった笑みを浮かべたざるそばは、言われた通りピーラーで皮をむき始めた。


