「私・・・見ての通り、厭味に聞こえるかもしれませんが、細い、でしょう・・・?」


 確かに、ひょろっとしている。雪を欺く白さと、その美しい顔立ちで、その細身は、守ってあげたくなる程にか弱く見えるのである。

 透明感のある青年、そうめんは続ける。


「だから・・・がっしりした、うどんさんに・・・憧れ、てたんですよ・・・。私・・・」

「おれ、に・・・?」

「はい・・・」


 俯いたそうめんは、正座した膝の上でギュッと拳を握った。


「・・・なぁんだ!」


 少しピンク色に染まっていた雰囲気が、一気に吹っ飛んだのは、突拍子もないうどんのそんな声からだった。


「だったら、言ってくれたら良かったっちゅーに!」


 ガハハと笑うと、うどんはそうめんのその細い体を、これでもかとバシバシ叩いた。


「なんなら、今からおれみたいながっしりした体つきになってみるか?」

「えっ・・・!」


 パァッと、まるで向日葵でも咲いたかのように、そうめんは笑顔を輝かせた。


「ほんとですか・・・!」

「おうよ!江戸っ子はウソ吐かねぇってんだ!」


 ニカッと、夏の照りつける太陽の如く笑ったうどんの歯が、白くキラリと眩しく光った。


「じゃぁ・・・!」

「ダメだよ」

「え・・・?」


 明るくなりかけた雰囲気を壊したのは、台所からやって来たそばだった。