世界は変わらない (A・T)








 体が、右に凄い速さで揺らされる。


 <ガンッ>



 なにが起こったのか、なにがどうなったかなんて分からないまま、あたしは窓ガラスに頭を強く打ちつけたことで、意識を失った。



 ただ、覚えているとしたら、

 頭に走った強い痛みと、大きな音と。

 みんなの叫び声と。


 「「琴奈っ!」」 という、

 大好きな二人の声だけだった。













           -





「………なっ!琴奈っ!!」


 そんな聞き覚えのある声と、体が揺らされていることで、あたしの意識は戻ってきた。

 状況を確認するため、あたしは、目をゆっくりと開ける。



「んっ………だ、いしょう…とゆうす、け?」


 あたしの目に映ったのは、


 いつも意地悪に微笑む山上の、

 いつも無表情でクールな林の、


 あたしでも見たことないくらい、心配そうな顔だった。


 いや、心配というよりは、不安、恐怖、そんな感じだろうか。

 どうしようかと泣きそうな顔にも見えたし、強く何かに縋り付く、苦しそうな顔にも見えた。


 でも二人とも、本当に、見たこともない顔をしていた。