癒伊奈の気持ちを知ってるのに誰?とか聞いちゃったあたしも最低だってことくらい分かってるけど。




 うっすら見える癒伊奈の背中を追いかける。

 でも、そんなあたしを何か速いものが追い越す。


 ゆ……憂亮!?


 驚いて一瞬止まったけど、あたしも謝らないと!と思って、再び走り出そうとした瞬間、

「ストップ!!」


 腕を掴まれ、あたしは腕を掴んだ人を睨んだ。

 そこには、いつの間に現れたのか、大星がいた。


 空気の読めない大星にムカつく。


 なんで止めんのよ!!


「離してっ!」

 そう言いながら大星の腕を払おうとすると、余計力を入れて腕を掴まれた。


「今は憂亮の恋に付き合え!!」


 大声を出した大星に怯んでしまう。


 恐すぎる!!


 ……てか、なんて言った?


「憂亮の……恋?」


 はあ?

 今あいつ、癒伊奈追いかけてんだよ?


 憂亮が好きなのはゆなって子なんじゃ……


 そこまで考えて、疑問を抱く。


 もしかして……

 あたしは憂亮の言葉を思い出した。


『…ゆ……な』