……一か月前のことだった。
あたしたち三人は、事故で両親を亡くした。
「楓さん♥何処に行くの?」
「海よ!すーっごい綺麗なの!!」
お母さんと山上のお母さんは、笑顔で楽しそうに話をしていた。
あたしたちはその日、車で海に向かっていた。
メンバーは、あたしと山上と林、そしてその家族。
「山上!そのパン返せーーっ!」
「やーだねっ!お前を太らないようにしてやるって言ってんだよ」
「なにが太らないようにだっ!あんたが食べたいだけでしょう!!」
林家の車は大きいんだけど、いくらなんでも暴れることが出来るスペースはない。
なのに、あたしと山上はギャーギャー騒ぎながら暴れまくる。
「……るせーよ」
そっと、林が怠そうに呟く。