「おい、琴」


 と言って、行くぞと顎で合図する大星。


 その日の放課後。


 憂亮を抜いて、二人で帰ることになった。

 小学生の頃から一緒に帰ってたけど、実は、二人で帰るのは初めてで、少し緊張する。


 いつもは隣にいるのに、今は大星の背中が目の前にある。



 校門を出てすぐ、大星はいきなり振り返った。



「あ、のさ……父さんたちが亡くなって、家族になって…結構色々あったじゃん?最近」


「そうだね……」


「…こんな時に、悪いんだけどさ……」



 大星も緊張しているのか、言葉を途切れ途切れにしてあたしに伝える。

 その様子に、あたしは思わずあの時の事故を思い出してしまい、嫌な気持ちになる。



 早く言って……!!



 しばらくの間を空けた後、大星は決意したように真っ直ぐあたしを見る。

 何か言われる!と思って、心臓がドキッと跳ねた。




 大星はゆっくりと口を開け、

「琴のこと……俺、マジだから///」


 と、何故か恥ずかしそうに言った。