なんとここでは、家賃、電気、ガス、水道代、全てタダ!

 そんなメリットがある反面、事件などが起こると深夜問わず即出動しなければならない。


 だから、京次郎さんはあまり帰ってこないし、帰ってきてもすぐにまた出動してしまうのだ。



 若い男の人……警備員さんはカードを受け取り、何かの機械に通すと、

「確かに。それでは気を付けて」

 と言って、カードをあたしに返した。



「はい。バカ二人!!行くよ!」



 あたしは、まだケンカをしている二人を引っ張って、門を出た。


 こいつらのせいで、

「仲良くね~!」

 と、警備員さんに言われたではないか。




「いーや、ビーフシチューだろ!」


「そこはクリームシチューだ!!」



 もうなんの言い合いか分からない言い合いを、呆れながらあたしは聞いていた。



 すると、ケンカを何処で終わったのか、大星はあたしに聞いてくる。


「カード出した?」


「あんたらがケンカしてる間にね」



 あたしはケンカをわざと強調して言った。



 カードとは。


 警察寮に住む人たちが持つ、許可証のようなものだ。

 これを持っていないと中に入れないし、これを出さないと門の外へ出させてもらえない。


 このカードは偽装できない特殊な加工がされていて、そういう所はさすが警察、だ。