「……るせーよ。普通に琴でよくね?」


 すぐにケンカをするあたしと山上をそう、冷たく止めるクール野郎。


 林憂亮。高校一年生。



 あたしと山上は我に返って、二人とも睨むように目を合わせた後、椅子を引いた。

 いつの間にか、林は椅子に座っていた。



「ま、まあ…とりあえずご飯よ!!」


「「おう」」



 目の前に並んだ、山上が作ったご飯たちは、いつも本当に美味しそうだ。

 THE☆和食な朝ご飯だ。




 見て分かる通り、あたし達は家族です。

 でも、ちょっと普通じゃない家族です……。




 ああもう、外面だけはいいんだから!!


 山上と林はイケメンだ。

 みんなは、山上は優しいし、林はクールビューティーだとか言っていた。


 あたし的には、ドコが?なんだけど。


 山上は外面はいいけど、意地悪な俺サマだし、林は無愛想で素っ気ないだけ!!

 きっと、みんなはイケメンに惑わされてるんだ。



「ねえ山上、時間割なんだっけ?」


 ふと気になってそう聞いた。

 ちなみに、あたし達は同じクラスなんだ。



「大星様だろうが」


「様じゃないわよ!」


 そういうことを普通に言えるのが凄いわ。



「とりあえず山上は止めろ。……もう、家族だし」


 味噌汁を一口飲んだ山上は、いつもとは違う、真面目モードでそう言った。


 そう、だよね………。