世界は変わらない (A・T)






「初めまして……」


 あたしはそう、言葉を返した。





「では、事故について確認をしますね」


 坂野刑事が手帳をだして、開いた。



「10月24日、午前11時32分。海岸を皆さんが車に乗っていると、前方から軽自動車が猛スピードで突っ込んできた。間違いありませんね?」



 淡々とした口調から事務的な雰囲気を感じて、少し気味が悪くなった。

 その口から語られているのは、すごく大きな話のはずなのに。



「多分、そうだと思います……」


「えっと、みなさんはその時どうしていたか覚えていますか?」



 その質問には、林が答えた。



「俺と山上は前川のところに飛んでいきました。俺は前川を守ろうと思って…山上は?」


「ああ、俺も同じ」



 林は山上のその言葉を聞くと、話を続ける。


「俺と山上と前川は車の後ろで座ってたんで、すぐに俺と山上で前川を抱きしめることが出来ました。」



 坂野刑事は、頷きながら手帳にメモを取っていく。




「まあ、前川はもう頭を打ってたんですけど……それで、車が大きく右に曲がって……俺らはそのまま右に寄ったんです。その時割れた窓ガラスが山上の頭と手を切って。俺は前のシートに足がぶつかって……」


「なるほど」