世界は変わらない (A・T)






 あたしが目を覚ましたからか、あたしの容態に質問をしてくる。



「特に……」


「そうですか。では、記憶がないなどはないですか?例えば……事故の前のこととか」


「いえ、大丈夫です」



 あたしがそう答えると、看護師さんは安心したように微笑んだ。



「良かったです。たまにショックなどで記憶を失くす方がおられますので。本当は、今から症状などについて説明したいのですが……」


 そう言いながら、看護師さんは刑事さんたちのほうを考えるように向いた。

 そして、少し間を置いた後、


「後からにしますね」

 と、微笑んでそう言った。


「はい」


 あたしも、つられるように微笑んだ。


 看護師さんは、踵を返し、ドアに向かって歩いて行く。

 そして、刑事さんたちにペコリと頭を下げた後、ドアを開けて出て行った。



 あたし達と刑事さんたちはその様子を見届けた後、再び時を動かした。



 あたし達に、刑事さんたちが近づいてくる。

 そして、若い男の人の方が話し出す。


「こんにちは。前川琴奈さん、山上大星さん、林憂亮さん……ですね?私達は東山署の刑事です。私が坂野(さかの)で、」


「私が中橋(なかはし)です。」


 若い刑事さんの隣にいた40歳くらいの刑事さんがそう言って、厳つい顔を崩して微笑む。