「前川~、林~、ご飯だぞ~」


 そんな声がダイニングから聞こえてきて、あたしはイラつきながら自分の部屋のドアを開けた。

 その勢いは、張っていた『♥琴奈の部屋♥』と書かれた紙がとれたくらい強かった。



「前川って呼ばないでよ!!」


 ダイニングに来て、エプロンを脱ぐアイツに言った。


 隣であたしとほぼ同じタイミングでダイニングに来て、あくびを1つすると、

「下の名前で呼べよ」

 と、クールに言い放った、コイツ。


 相変わらず無愛想なのが少しムカつくけど、あたしはうんうんと頷いた。

 その通りんご!





 あたしの名前は、前川琴奈。

 高校二年生の女の子♥



「んじゃ、琴ちん?」


 そう言ってニヤッと笑ったアイツに、殺意が沸いてくる。


 あぁ?

 んだと、コンニャロー!!


 ムカつくアイツは、山上大星。

 同じく高校二年生。



「あんたねぇ……なにが琴ちんよ!!」


「いやぁ、下の名前で呼ぼう思ってさ。ほら、お前も前川って言ったら怒ったじゃん?カバみたいにドスドス音立てながら来たし」


「だからってあだ名じゃなくていいじゃん!ってか、カバってなんだぁー!!」


「いや、見たまんまを言っただけ(笑)」


「んだとーー!?」




 ワーワーギャーギャーッ!!