耳の聞こえない私はよくわからなかった。


でも母のあの顔は忘れられなかった。



忘れるわけがなかった。


どんどんひどくなっていく暴力。



ようやく意味がわかるようになった頃には、母はもうボロボロ。



髪も整えておらず、ただ私に手話で、「大丈夫、私が守るから」と言ってくれた。

私はふと思った。


私も母を守れる力が欲しい。


強く願った。


学校の図書館で格闘技の本をありったけ借りた。