ああ、今日も疲れたな~
 岡本仁は思った
「中学校生活も2ヶ月過ぎたけど、あんまりクラスに慣れないな
 ま、裕紀がいただけいいか小学校の頃から友達だし」
 裕紀とは小学三年の頃知り合いそれからの友達だ
 みんな思い思いの友達同士帰る中、仁は1一人で自転車を転がした
 裕紀には今日日直の仕事があるから先に帰っててと、言われた
 しょうがない一人で帰るか
 最初は新鮮だったこの景色も2ヶ月毎日通ったらそりゃ飽きるな
 ブツブツ独り言を言っていると
「ねえ、一人なら一緒に帰らない?」
 と、後ろから陽気な声がした
 そうだ、もう一人知っている奴がいたな~
 僕は無言で自転車を漕ぎはじめた
 あいつにはかまってられない
 あいつと言う名の久本香奈が追っかけて 
「1回位フラレたからってあきらめないよ」
 っと、大声で叫ぶ
 そう、こいつは入学そうそうコクってきた。知らない奴とは関わらない主義な俺はふってやった。後から知ったことだが実は小学校から一緒だったらしい
まあ、俺には関係ないけど
 少し急ぎ目にこぐ。久本は歩きだ、状況からすれば圧倒的に自転車の方が速い。でもそんな理屈久本には通用しなかった
「オリャー」
 と、奇声を発して走って来るそして追いつくのだ自転車に
 それもそのはず彼女は陸上1200メールの全国大会優勝者だ
 小さいくせに生意気な奴だ
「どうだ参ったか」
 いつもなら「ああ、参ったよ」ですむが、
 今日はそんなテンションにはならなかった 
「まいったまいった」
 僕は小さな声でささやいた
「おい、どうしたテンション低いぞ。なあ、おい」
「うるさいな~今日の6時間目に1500メートル走ってくたくたなんだよ」
 恥ずかしい話僕は走るのが苦手だった
 それにお前に会うし...
「運動しないから体力無いんだよバーカ」
 そうして彼女はまた奇声をあげて走っていった
(って、一緒に帰るんじゃなかったのかい)
 と、心の中でツッコみ
(やれやれ、だからあいつには嫌いなんだ。何考えているのかわからないから)
 僕はまた自転車を転がして家に向かった
 1500走るし、あいつには会うし、不幸は続くな~うわっ、なんで黒猫が前を通るんだよ~そろそろ死ぬのか
 は~とため息をつく
 しかし僕はこれから今までで一番の不幸に出会うこととなる
 この時の僕には想像できるはずもなかった



 
 やっと家に着いたか
 ホッとしてドアを開ける
「ただいま」
 辺りはシーンとして返事は無い
 おかしいないつもなら返事が帰ってくるのに
 とりあえずリビングに行くと
 不幸は突然やってきた
「え...おかあ.さん?」 
 僕の目には血だらけの母の姿が映った
「お母さんどうしたの。どうしたのお母さん」
 しかし返事は無い
「は..そうだ救急車、救急車呼ぼう。えーと」
 焦っててがすべる
「あわわ、11」
 9と押そうとした瞬間電話が切れた
「あれ、なんで?」
 すると後ろから女の子の声がした
「無駄だよ。君のお母さんはもう死んでるよ」
 ハッと向くと女の子が立っていた
 かわいいと言うより美しかった
 それに妙に落ち着いてそれに重みのある言い方だった。彼女は続ける
「心臓をひとつき即死ね」
 は、何言ってるんだこの女は、そんんな訳無いだろ。えーと119
 トゥルルルルすぐに男の人が出た
「はい、新村消防署です」
「大変です。お母さんが血を出して倒れていますすぐ来てください急いで」
「えーと、場所はどこでしょうか?」
 すっかり住所を言うことを忘れていた
「えーと、新村町...................です。はい、お願いします」
「無駄だと思うけどね」
 その子はボッソっと言った
 僕はそんなこと無視し電話を置いた
 何分かたって救急車が来た。この何分かが何時間にも感じた
 僕は祈るようにお願いした
「お母さんを助けてください。お願いします」
 しかし救急隊の人の言葉に僕は絶句した
「大変悲しいことですがあなたのお母さんは亡くなりました」
 ふと、熱いものがまぶたを流れた
「どうしてですか、まだちゃんとみてないのに..う.う」
 言葉にならないような声で言った
 そういったもの、あの血だらけの姿を見たら納得せざる終えなかった
「嘘だろおかーさーん」
 突然やってきた母との別れ。これで彼の人生が狂いはじめた



 父親は僕が生まれてすぐに「ちょっと出かけて来る」と言った切り帰ってこないらしい。それから母と二人で頑張って暮らしてきたのに....なのになんで!僕はこれからどうすればいいんだ。頼っていた人が亡くなり、僕は孤独感と絶望を感じた
 学校に行けば「かわいそうだね」や「大丈夫?」など声をかけられる。大丈夫なはずも無いけど大丈夫と言っておく。本当は声なんてかけられたくもい。
だってそのことがうそでなく本当であるということが、日に日に現実味を帯びてしまうから。家の件は祖父母と住むことも考えられたが、学校の件などで一旦保留になった。
 一週間程たった後あの女の子が彼の家にやってきた
「さぞ悲しいでしょうね、仁さん」
 微笑みながら言った女の子に玄関にいたにもかかわらず
「おっお前は」
 言うが速いか女の子の胸倉を掴み
「お前がお母さんを殺したんだな。お前なんか殺してやる」
 凄い剣幕でいったはずだが
「やだなー私じゃ無いですよ」
 と言ってきたのだ
「お前じゃ無かったら誰なんだよ」
 少し間があき
「...悪魔ですよ」
 なんか意味ありげな顔で言った。僕は呆れて
「は、悪魔お前大丈夫か」
 と言ってやった。しかし彼女はかおいろをかえずに
「ほんとですよ」
 と言ってきた

 これが僕とあの女との壮大な冒険の始まりだった