哀恋 アイレン

それが、何故か今の俺には痛かった。

「…雨宿り、もうええやん?あたし帰るな。」

弱く、小降りになって来た雨。
早口で言うと君は帰る方向へと足を踏み出す。

しばらく歩いて行くと、振り返って俺を見つめる。

「あんな…」

真剣な瞳。
泣いてるんか
雨なんか

もう俺には分からん。

「ほんまは…」

掠れた声が、やたらと胸を締め付ける。