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学校に着いたのは7時くらいだった。
校門をくぐり、靴箱で靴を履き替えた。
静まり返った校舎の中を自分の教室を目指し一人で歩く。
キュッキュッというシューズのゴムの音が校舎に吸い込まれてゆく。
ドアを開けて教室に足を踏み入れ、窓側の一番後ろの席へ向かう。
鞄を机の横にあるフックに掛け、教室を出た。
向かう先は屋上。
本当は立ち入り禁止になっているの
だが、先生から鍵を預けられた時に
こっそりと合鍵を作っておいた。
ギィ…、という音をたてながら扉を
開ける。
バタン…!
大きな音をたてて扉が閉まる。
それと同時に床に寝転がった。
春の朝日がポカポカとしていて気持ちいい。
まだホームルームまではかなりの時間がある。
しばらくゴロゴロしていよう。
生徒が登校してくるのは早くてもあと
20分後。
きっとまだこの校舎にいるのは、僕だけだろう。

