「……じゃぁ俺も今から勝手に喋るから聞いてて。
俺は昔から冷めた奴で誰かを好きとか大切だと思えるものとか全くなくて面倒な事から逃げて適当な生活を送ってたんだ。
女も俺の外見を見れば寄ってくるし特に“好き”とかいう感情もないから適当に遊んで捨ててた。
黒木の気持ちも分かってたけど俺にとっては荷が重いだけでさ、なるべく顔を合わせないように練習試合とかも俺はよくサボってた。
それに……ほら、アイツ真面目だろ?
変に期待させると余計面倒な事になると思ってハッキリ振ったんだ…
まぁ、逆にそれで黒木を深く傷つけちまった
らしいけどな……」
遠くを見ながら少し切なそうな目
「…………」
「……直樹には一発殴られるし、やっぱり俺は本命なんか作る柄じゃないと実感してお前に会うまでは適当な生活を続けてた」
そして翼は隣に座ってるあたしへと視線を移し、あたし達は至近距離で目が合った
ドキッ…
強くて真っ直ぐな視線
あまりに強くて真剣なその視線に釘付けになったあたしは視線を逸らしたくても逸らせない
「だから、…………」
ゆっくりとあたしから視線を逸らして呟き、その後 少しの沈黙が続いた
