あたしは無事、チャイム前に席へ座れた。



「なぁ、姫奈。」



通路を挟んで右の席、神崎弘樹。


彼の家ももちろんお金持ち。


この学校の中でも上の地位。



コイツとは何故か話しやすくて、あたしはヒロと呼んでいる。



「ん、なに?」



あたしが返事をするとヒロが近づいてきた。


「耳かして…。」


聞こえるか聞こえない位の声で言ってきた。



ヒロの方に近づく。



するとヒロは周りを見渡すと、あたしの目を見た。


「今日、転校生が来るらしい…。」



「へぇ、良かったじゃん」



「…。」



ヒロの様子がおかしい。




「…。まだ何かあるの…?」



ヒロは、はぁ。と薄いため息をした。



「この時期に転校生って、おかしいと思わないか?」


「そう?転校生にだって理由があるんじゃないの?」



そう言うと。ヒロはさっきより深いため息をした。


「ん~…。まぁ、いいや…。」