「───っ!」 突然開かれた教室の扉の音に体が跳ねる。 視界に入った影で、扉を開けた人物がすぐわかった私は、反射的に机に突っ伏した。 「あのー、…って、誰もいないし…」 …ああ、いつもの先輩だ。 いつもの…柔らかい話し方。 たった一日会っていないだけなのに、何十年ぶりにさえ感じてしまう。 それほどまでに、私の想いは膨らんでいたことに、今更ながら気づいてしまう。 パタン、パタンと、徐々に先輩の足音が私の席に近づいてくる…。