─ギュウウ
「せんぱ…？」
拒否されたかと思いきや、抱き締められる。
「…穂和ちゃん。俺のことなんだと思ってるの…」
「……へっ！？」
突然の意味不明な先輩の発言に首を傾げたいが、珍しく強く抱き締める先輩の腕に阻まれ、それは出来なかったが、私の頭の上にはいくつものクエスチョンマークが浮かび上がっている。
「せん…ふぐっ！」
先輩、と名を呼ぼうとした口を、先輩の手によって塞がれる。
「んっ…ふー…」
「ごめん…でも、ちょっと聞いて」
「…？」
いつもより真剣で少し低い声に促され、大人しく黙ると、先輩は私の耳に顔を近づけ、吐息混じりに囁きかけた。
