爽side









夢瞳「先輩、どこ行くんですか?」







その言葉に

返答はせず、

やって来たのは

カフェ図書館が一体化してるとこ。







まあ、言えば勉強するとこ。







夢瞳「げっ!?」







席に着くなり、

変な声をあげる。







夢瞳「ま、まさか、

   あたしに勉強させる気!?」


爽「…逆だよ」







夢瞳「えっ……」







爽「……俺が教えて欲しいの」







なんか、恥ずかしい。







夢瞳「でも、あたしに

   教えらることなんて―…」


爽「英語」


夢瞳「あぁ!」







さっき図書室で

していたテキストを開いた。







夢瞳「ここの綴り

  “r”が抜けてますよ」


爽「これいつも間違える」







夢瞳「お」


爽「なんだ。違うか」


夢瞳「いえ、全問正解です!」







前と、立場が

逆になったみたい。







気付けば6時。







夢瞳「これで完璧ですね♪」







爽「―――なんか」


夢瞳「……ん?」







玉森「……ありがとな」







夢瞳「……将来は

   英語教師にでもなろうか―…」


爽「やめとけ」


夢瞳「あいあいさー」







夕日が輝く道。







爽「前から思ってたんだど

  なんで英語しか

  勉強しないんだよ」







コイツは

いつでも謎だらけ。







夢瞳「あたし、ずっと

   叔母に嘘つかれてて」


爽「嘘?」







夢瞳「「貴方の両親は

    アメリカに居るのよ」って」







問題児は下を向いた。







夢瞳「だから、アメリカに居る

   お母さんたちに

   会いたくて、小さい頃から

   英語しか勉強しなかったんです」







少し、涙声だった。







夢瞳「でも、ほんとは

   そんなの嘘で―…」