夢瞳side









夢瞳「…ちょ…!」







胸板を叩くと、

龍友先輩は唇を離した。







夢瞳「……先輩?」







龍友「好きなんだ。

   夢瞳ちゃんのこと」







夢瞳「……え」







龍友「俺は本気だよ」







強い眼差し。







その瞳に、一瞬

吸い込まれそうになった。







龍友「…俺と爽、

   どっちが好き?」







タイプが真逆すぎる、

先輩たち。







あたしはずっと無言で、

頭の中を整理していた。







龍友「急にごめんね。

   返事は、放課後

   してくれないかな」


夢瞳「ほ、放課後ですか?

   でも―…」


龍友「今は聞きたくないんだ」


夢瞳「…そ、そっか。分かりました!」


龍友「ありがとう。

   じゃあ放課後、屋上で」







そう言って、あたしを

開放した龍友先輩。






龍友先輩はそのまま

資料室の

出入り口に向かった。







龍友「でも最後にひとつ」







あたしを見ながら、

先輩は言った。







龍友「俺は爽より

   夢瞳ちゃんを幸せにできるよ」







それだけ言うと、

姿を消した先輩。







足の力が抜けて、

その場に座り込んだ。







夢瞳「…でも、あたしの心は

   もう決まってるし!」







そうだそうだー!







口角をグイッと上げて、

背筋を伸ばした。







夢瞳「平常心♪」