「? そうだな、よかったよ…そろそろ帰るか」

時刻を見ると、もう19:00だった。

「そうだな、帰るか」

俺がそう言うと、遼斗が思い出したようにそういえばと続ける。

「今、姉さんが帰ってきてるんだぜ」

………

「俺はもうちょっといようかなぁ〜」

出口とは反対方向に足を向け、歩き出そうとする。


「おいおーい?帰るかって言っただろー?帰るぞ〜」


あの姉さんだけは無理だ!

「もうちょっと遊ぶから先帰ってていいぞ〜」

遼斗の姉さんは簡単に言えば女王だった。
あれしろこれしろとなんだかんだ言ってくるので俺が苦手とする人だった。


「もう観念して帰るぞ!」

そう遼斗は言って俺を掴んだ。引っ張って出口へと向かう。


「離せ!俺は会いたくねぇんだよ!」


ジタバタと暴れるが、ガッチリと俺を掴んでいる遼斗。……全然離れねぇ…

「姉さんは会いたがってるぞー」

そう言って、ゲーセンを出て家へと向かっていく。


「や、やめろぉぉぉおおお!」


その叫びも虚しく、遼斗の家に着いてしまった。