あの事件(？)が起こったあと、俺らは家に帰った
スマホで時間を確認すると、もう9時を過ぎていた
会長の家に近い人は徒歩で、俺みたいに遠い人は会長のメイドさんのメリッサさんが車で送ってくれた
車の中には俺とメリッサさん以外に、大沢と正喜がいた
「市岡……大丈夫？」
大沢は心配そうに俺の顔をみた
「もうとっくに大丈夫だ 寝たしな」
俺は適当に返事を返した
「でも、突然意識がなくなるとは、お嬢様の料理は破壊的ですね」
いきなりメリッサさんが喋ってきた
「……知ってたんですか？会長の料理が破壊的ってことを…」
「はい、昔から 私もあなたみたいに犠牲になりましたよ」
メリッサさんは笑いながらいった
「でも、あんなに生き生きしたお嬢様を見たのは、初めてです」
「え……？」
「あなたたちの前ではいつも笑っているでしょう でも家ではそんな表情はしないんですよ」
「なんでですか？」
「ご主人様が厳しいのです」
「大和さん……ですよね？」
「はい ご主人様はお嬢様が今通っている高校に入るのを頑固拒否しました「もっといい高校へ行け」って でもお嬢様は通いたいという意思を貫き、なんとかその高校に通うことができました………それからご主人様との仲は悪くなりましたが」
「……………」
会長にこんなことがあったということをはじめて知り、俺らはただ黙ることしかできなかった
「市岡様、家に到着しました」
いつの間にか家の前に着いていた
「じゃあな」
「じゃあね」
俺は正喜と大沢に「ああ」と返しといた
車を見送って、どんどん小さくなっていき、見えなくなったときに俺は自宅の中へと入った


そのあと親に色々言われたが、俺は自分の部屋へと入った
「………あれ？」
自分の鞄の中を見ていると、見慣れない小型の水筒が入っていた
蓋を開けると、中にはまだ温かい味噌汁が入っていた


この味噌汁は天野が作ったものだ


俺はそれを一気に飲んだ