世界を敵にまわしても

昨日とは違う気持ちでこの坂を下る。

知らないと先生が言った。

先生みたいな大人が知らないわけない

何があなたを変えたの……と

知りたいと思うのもまた事実。

「心音…っ!」

上から低く通る声で私を呼ぶ

振り返ると、息を切らした秀哉くんが立っていた。

「…秀…哉…くん」

「一緒に帰ろうと思って」

彼は私を見てふわっと笑う

私は緊張して大きく頷くことしかできない

「心音は、二年生なんだね」

そう言って、彼は私のネクタイを指さす

「あ…うん。秀哉くんは……っ三年生?」

先輩だなんて知らなかった。

ネクタイを見て始めて気づく

いやいや…なのにあんな態度…

私のうろたえっぷりを見て彼はくすくす笑う

…いや……そんな笑わなくても…