世界を敵にまわしても

「渡さないなら…力づくで奪うまで。」

先生は冷たく、低く言い放つ。

「渡しはしない……だが…逃げもしない。」

そういって、ナダルは私の背中を強くおす。

「先ほど言いました。お急ぎください。」

ナダルの覚悟を決めた声。

戸惑いを隠せない。

「ナダルは……」

後ろを振り向いて、今にも消え入りそうな声で問う。

ナダルはふにゃんと笑って、私を見る。