世界を敵にまわしても

ナダルは、私の背中をポンと押す。

「ナダルっ」

私の言葉にもナダルは振り返らない。

「お嬢様…ここをぬけ、右手の奥に装置がございます。お急ぎください。」

ナダルの声から必死さが伝わる。

私が走り出そうとしたとき、ふと懐かしい声がした、

「ナダルさん、心音っ!!」