そして、私の腕を乱暴に引っ張った。


「一ノ瀬っ…」


「蛍!」


しゅうが私を呼び止める。


私は、引っ張られながら振り向くと、彼は笑顔でこう言った。


「俺さ、蛍のこと好きだよ!」


私の目から、涙が込み上げてきた。


「ちっ」


一ノ瀬が何故か舌打ちをすると、私を軽々と持ち上げて、海岸を出ていった。


彼の顔を、彼の声を、しっかりと焼き付け、私は一ノ瀬に抱かれたまま、目を閉じた。